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公開日
2026.09.11
更新日
2026.09.11
お役立ち情報
#採用コラム #人事担当者向け #採用戦略

同一労働同一賃金 2026年改正|10月施行の変更点と企業の対応を解説

2026年10月1日、同一労働同一賃金に関するルールが改正されます。

今回の主な変更点は、次の3つです。
1. 雇い入れ時の労働条件通知書に、待遇差について説明を求められる旨を明示する
2. 同一労働同一賃金ガイドラインが改正され、待遇差の判断例が具体化される
3. パートタイム・有期雇用労働者の雇用管理指針が改正される

厚生労働省は、今回の改正について、パートタイム・有期雇用労働者を雇用する事業主に対し、労働条件通知書や賃金規程、福利厚生制度などの点検を求めています。

本記事では、2026年10月の改正内容と、企業が施行日までに確認すべき実務対応を解説します。

なお、本記事では主にパートタイム・有期雇用労働者に関する改正を扱います。派遣労働者については、派遣元・派遣先それぞれに別のルールが適用されるため、厚生労働省の資料も確認してください。

目次

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2026年10月の同一労働同一賃金改正で何が変わる?

2026年10月の同一労働同一賃金改正で変わる3つのポイント

厚生労働省が示す2026年10月改正の主な内容は、以下のとおりです。

項目

変更内容

位置づけ

労働条件明示事項の追加

待遇差について説明を求められる旨と申出先を通知書に記載

新たな明示義務

ガイドラインの改正

賞与、退職手当、各種手当、休暇などの待遇差に関する判断例を具体化

判断基準の具体化

雇用管理指針の改正

評価、教育訓練、正社員転換、意見反映などの望ましい取組を具体化

雇用管理上の望ましい取組

重要なのは、3つの改正をすべて同じ「新しい法的義務」として扱わないことです。

今回、新たな法的義務として特に確認すべきなのは、労働条件通知書への明示事項の追加です。

一方、ガイドラインの改正は、どのような待遇差が不合理と判断されるかについて、具体例を追加・充実させるものです。

雇用管理指針の改正は、パートタイム・有期雇用労働者の評価、育成、正社員転換などについて、事業主に望まれる対応を具体化するものです。

同一労働同一賃金とは?

同一労働同一賃金とは、同じ企業の中で働く正社員とパートタイム・有期雇用労働者との間にある、不合理な待遇差の解消を目指す考え方です。

「正社員と非正規社員の賃金をすべて同じにする」という意味ではありません。

待遇差が不合理かどうかは、待遇の目的や性質を踏まえたうえで、次のような事情を総合的に考慮して判断されます。

  • 職務の内容

  • 職務に伴う責任の程度

  • 職務の内容と配置の変更の範囲

  • その他の事情

  • 待遇そのものの目的や性質

パートタイム・有期雇用労働法では、主に次の3点が定められています。

不合理な待遇差の禁止

正社員とパートタイム・有期雇用労働者との間で、基本給、賞与、手当、福利厚生などの待遇に不合理な差を設けることは禁止されています。

差別的取扱いの禁止

職務の内容と配置の変更の範囲が正社員と同じ場合、雇用形態を理由とする差別的な取扱いが禁止されます。

待遇差の説明義務

パートタイム・有期雇用労働者から求められた場合、事業主は、正社員との待遇差の内容と理由を説明しなければなりません。

2026年10月の改正では、この説明を求められる権利があることを、雇い入れ時の労働条件通知書に明示する必要があります。

労働条件通知書に追加される明示事項

2026年10月1日以降、パートタイム・有期雇用労働者を新たに雇い入れる場合、労働条件通知書などに、待遇差について説明を求められる旨を記載します。

厚生労働省のモデル労働条件通知書では、次の記載例が示されています。

同一労働同一賃金改正に伴う労働条件通知書の対応フロー

次の窓口に対して通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる。

通知書には、少なくとも以下の情報を記載できるようにします。

  • 申出先となる部署名

  • 担当者の氏名・役職

  • 電話番号やメールアドレスなどの連絡先

待遇差の説明を求める申出先と、雇用管理に関する相談窓口が同じ場合は、相談窓口側を「同上」と記載することもできます。

契約更新も対象になる

対象となるのは新規採用だけではありません。

有期労働契約の更新も「雇い入れ」に含まれるため、2026年10月1日以降に契約を更新する場合も、新しい様式を使用する必要があります。

既存社員への通知書再交付は必要か

2026年10月1日より前から雇用しているパートタイム・有期雇用労働者に対して、通知書を一斉に出し直す義務まではありません。

ただし、待遇差について説明を求められることや、申出先となる窓口については、既存社員にも周知しておくとよいでしょう。

改正ガイドラインで点検すべき9項目

2026年のガイドライン改正では、賞与、退職手当、各種手当、休暇などについて、待遇差の考え方や具体例が追加・充実されました。

特に、以下の9項目は重点的に点検しましょう。

同一労働同一賃金ガイドラインで点検する9つの待遇項目

賞与

会社業績や労働者の貢献を目的とする場合、貢献度に応じた支給になっているかを確認します。

退職手当

長期勤続への報いなど、制度の目的がパート・有期社員にも当てはまるかを確認します。

無事故手当

正社員と同じ運転・配送業務を担っている場合、雇用形態だけで不支給にしていないかを確認します。

家族手当

契約更新を繰り返すなど、継続勤務が見込まれる社員を一律で対象外にしていないかを確認します。

住宅手当

転居を伴う異動の負担を補う制度であれば、規程だけでなく、実際の異動命令や今後の見込みも確認します。

福利厚生施設

食堂、休憩室、更衣室などを正社員だけの利用にしていないかを確認します。

病気休職

契約期間や更新の見込みを踏まえ、有期社員を一律に対象外としていないかを確認します。

夏季・冬季休暇

正社員と同じ時期に勤務しているパート・有期社員だけを対象外にしていないかを確認します。

褒賞・永年勤続表彰

勤続期間を基準とする制度で、雇用形態だけを理由に対象外にしていないかを確認します。

9項目に該当しなければ点検しなくてよいわけではありません。

基本給、通勤手当、精皆勤手当、慶弔休暇、教育訓練なども、引き続き待遇差の点検対象です。

待遇差の判断では、「正社員だから」「パートだから」という雇用形態だけで結論を出すのではなく、待遇の目的と、実際の働き方を確認する必要があります。

待遇差を点検する5つのステップ

同一労働同一賃金の待遇差を点検する5つのステップ

1. 自社の待遇項目を洗い出す

賃金だけではなく、以下のような項目も雇用区分ごとに整理します。

  • 基本給

  • 賞与

  • 退職手当

  • 各種手当

  • 休暇・休職

  • 食堂や休憩室

  • 社宅や住宅関連制度

  • 教育訓練

  • 表彰制度

  • 社内割引制度

2. 待遇の目的を整理する

待遇の名称だけで判断せず、なぜその制度を設けているのかを整理します。

例えば、住宅手当であれば、単なる生活補助なのか、転居を伴う異動の負担を補うものなのかによって、待遇差の判断は変わります。

賞与であれば、会社業績への貢献、個人の成果、賃金の後払いなど、支給目的を確認します。

3. 目的がパート・有期社員にも当てはまるか確認する

制度の目的がパート・有期社員にも当てはまる場合、雇用形態だけを理由に一律で対象外にすることが不合理と判断される可能性があります。

有期社員については、契約期間だけでなく、更新回数、更新の実態、今後の継続勤務の見込みも確認します。

4. 職務・責任・異動範囲との関係を確認する

待遇差を設ける場合は、以下の違いが具体的に説明できるか確認します。

  • 担当する業務の違い

  • 判断や管理の責任の違い

  • 残業や休日勤務の有無

  • 転勤や職種変更の可能性

  • 配置転換の範囲

  • 実際の勤務実態

「将来の役割が違う」「正社員の人材確保が必要」といった抽象的な説明だけでは不十分です。

待遇の目的と、職務・責任・異動範囲などの具体的な違いが、合理的に結び付いている必要があります。

5. 是正項目と優先順位を決める

次のような項目から優先的に確認します。

  • 同じ業務をしているのに一律で対象外としている待遇

  • 規程と実際の運用が一致していない待遇

  • 労働者から質問や不満が出ている待遇

  • 説明資料や支給基準が存在しない待遇

  • 2026年改正で具体例が追加された待遇

なお、正社員側の手当を一方的に廃止して差をなくす方法は、労働条件の不利益変更につながる可能性があります。

まずは、パート・有期雇用労働者側の待遇を改善する方法を含め、慎重に検討しましょう。

待遇差の説明資料に記載すべき内容

労働者から待遇差の説明を求められた場合に備え、待遇ごとの説明資料を準備しておくと対応しやすくなります。

説明資料には、以下の内容を整理します。

  • 比較対象となる正社員の区分

  • 正社員とパート・有期社員の待遇内容

  • それぞれの支給・付与要件

  • 待遇の目的や性質

  • 職務内容の違い

  • 責任の程度の違い

  • 配置変更や転勤の範囲の違い

  • 待遇差を設けている理由

  • 今後の見直し予定

  • 説明担当者と回答責任者

「役割が違うため」「正社員だから」とだけ説明するのではなく、待遇の目的と具体的な働き方の違いを結び付けて説明できる状態を目指します。

また、説明を行った場合は、使用した資料、説明日、説明内容、対応者を記録しておくと、後から説明内容を確認できます。

雇用管理指針の改正で確認したいこと

雇用管理指針は、パートタイム・有期雇用労働者の雇用管理を改善するため、事業主に求められる措置や望ましい取組を示すものです。

2026年改正で追加される内容は、すべてが新たな法的義務というわけではありません。

主な確認項目は以下のとおりです。

評価と育成

職務内容、成果、意欲、能力、経験などを踏まえ、公正に評価する仕組みを整備します。

職務に必要な教育訓練についても、雇用形態だけを理由に機会を制限していないか確認します。

正社員転換の推進

正社員の募集内容を周知する、社内公募への応募機会を設ける、転換試験制度を整備するなど、正社員転換の機会を確保します。

正社員転換推進措置そのものは、従来から事業主に求められている対応です。

パート・有期社員の意見反映

面談、アンケート、意見交換会などを通じて、パート・有期社員の意見を聞く機会を設けます。

待遇制度を見直す際に、制度を利用する労働者の実態や意見を把握することが重要です。

福利厚生

物品販売所、保育所、図書館、保養施設などの福利厚生について、利用機会や利用条件に不合理な差がないか確認します。

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施行日までの実務対応チェックリスト

労働条件通知書の対応

  • 新しい明示事項を通知書のひな形に追加する

  • 待遇差の説明を受け付ける部署・担当者・連絡先を決める

  • 相談窓口の記載内容を確認する

  • 2026年10月1日以降の新規雇い入れ・契約更新から新様式を使用できるようにする

  • 採用担当者と契約更新担当者へ変更内容を周知する

待遇制度の対応

  • 雇用区分ごとの待遇一覧を作成する

  • 9項目を中心に制度の目的を確認する

  • 規程上の取扱いと実際の運用を比較する

  • 待遇差の理由を具体的に説明できるか確認する

  • 是正が必要な項目と担当者、期限を決める

説明体制の対応

  • 待遇差の説明資料を作成する

  • 労働者から質問を受けた場合の一次対応者を決める

  • 回答内容を確認する責任者を決める

  • 説明内容や対応履歴の記録方法を決める

  • 必要に応じて社会保険労務士や弁護士へ相談する

よくある質問

2026年10月から正社員とパートの給与は同じになりますか?

すべての給与や待遇を同じにする制度ではありません。待遇の目的、職務内容、責任、配置変更の範囲などを踏まえ、不合理な待遇差を解消することが求められます。

2026年10月以前から働いている社員の通知書も変更が必要ですか?

既存のパート・有期雇用労働者に対して、通知書を一斉に再交付する義務まではありません。ただし、待遇差について説明を求められることや、申出先となる窓口については周知しておくとよいでしょう。

「正社員だから」という理由で待遇差を説明できますか?

雇用形態だけでは、十分な説明とはいえません。待遇の目的と、職務内容、責任の程度、配置変更の範囲などの具体的な違いを整理する必要があります。

2026年10月の改正は中小企業も対象ですか?

パートタイム・有期雇用労働者を雇用している事業主であれば、企業規模にかかわらず確認が必要です。

同一労働同一賃金への対応を採用活動にもつなげるには

同一労働同一賃金への対応は、法令上の確認だけでなく、求人票に記載する給与・手当・福利厚生の見せ方や、応募者への説明にも関わります。

待遇差の整理とあわせて、採用条件や求人内容を見直すことで、入社後のミスマッチ防止や応募者の納得感向上にもつながります。

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まとめ

2026年10月1日の同一労働同一賃金改正では、労働条件通知書への明示事項追加、ガイドラインの改正、雇用管理指針の改正が行われます。

企業がまず取り組むべきことは、次の3つです。

  1. 労働条件通知書に、待遇差の説明を求められる旨と申出先を追加する

  2. 賞与、退職手当、各種手当、福利厚生、休暇などの待遇を点検する

  3. 待遇差の理由を、職務内容や責任、異動範囲と結び付けて説明できる状態にする

今回の改正は、単に書式を変更するだけではありません。

規程と実際の運用に差がないか、雇用形態だけを理由に待遇を分けていないか、労働者に納得できる説明ができるかを見直す機会でもあります。

早めに待遇の棚卸しと説明体制の整備を進め、2026年10月1日以降の新規雇い入れや契約更新に備えましょう。

参考資料

本記事は制度の概要を解説するものであり、個別の待遇差が不合理かどうかを判断するものではありません。個別事案については、社会保険労務士や弁護士などの専門家へご相談ください。